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2016年:犬と猫の各ウイルス感染症に対するペグインターフェロンα-2aの臨床的使用効果 (獣医畜産新報 JVM Vol.69 No10,2016年10月号,753-756頁)

上原 淳、岡田絵理子

〈要約〉
 犬と猫のウイルス感染症に対してペグインターフェロンα-2a(PEGINF-α-2a)を用いた治療を行ったところ、現時点で目立つ副反応はなく、多くの症例でより速やかな改善や、より長期の症状発現予防といった結果が得られた。臨床的な判断ではあるものの、従来の組換え型猫インターフェロンω(R-FINF-ω)を用いた治療成績を上回るものであった。

キーワード:ペグインターフェロンα-2a、ウイルス感染症、犬、猫

 ペグインターフェロンα-2a(以下、PEGINF-α-2a)はインターフェロンα-2aをペギュレーション(以下、PEG化)し生体親和性の向上および体内での持続時間を延長したものである。投薬量の低減やどレッグデリバリーシステムとして注目されている。INF-αは自然免疫における抗ウイルス活性の中心的役割を担っていることから、ウイルス感染症の治療にさらなる効果があると考えられる。当院では、以前より組換え型ネコインターフェロンωであるインターキャット(以下、R-FINF-ω)を用いて猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)などのウイルス感染症の治療を行ってきた。しかし、ヒトINFαを用いたFIVやFeLVの治療報告が過去にあることやPEG化されたINFによるさらなる治療効果が期待されたため、2005年より試験的にR-FINF-ωからPEG化ヒトINFαであるペガシス(PEGINF-α-2a)  へ置き換えた治療を導入した。その後、従来R-FINF-ωを治療に用いていた他のウイルス感染症への仕様も試みた。

Atsushi UEHARA & Eriko OKADA:長草どうぶつ病院