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2018年:抜歯窩への止血および治癒促進を目的としたアルギン酸塩被覆材の使用例 (第27回 中部小動物臨床研究発表会)

 〈要約〉
 アルギン酸とは海藻(褐藻類)に含まれる細胞間多糖類で、これを工業的に抽出・精製したものであり、アルギン酸塩として食品領域では増粘剤やゲル化剤、繊維加工用の糊剤として用いられるだけでなく、その粘性やゲル化機能は医薬品・医療材料としても応用され、古くから安全性の高い物質と位置付けられている。当院では歯科治療時における止血および治癒促進目的で、アルギン酸塩創傷被覆材(アルギネート創傷被覆材)の抜歯窩等への充填・埋没を行っており、その使用歴は10年以上になるが、現時点で有害事象等は特に発生しておらず、使用感、処置後の経過は共に良好である。

Key words:アルギン酸、アルギネート創傷被覆材、止血材、創傷被覆材


 抜歯窩や歯肉フラップ形成時等に起こる出血は、縫合時の視野を妨げたり、綿棒等での圧迫による止血のみでは処置時間が長くなることがあるため、以前より出血部位へゼラチンスポンジ等の止血材を用いていたが、使用感等の不満から創傷被覆材であるアルギン酸カルシウム不織布(アルギネート創傷被覆材)の止血作用に着目し、歯科治療時の止血に対しての使用を試みた。アルギネート創傷被覆材の歯科治療への使用歴は10年以上になるが、現時点で有害事象等は特に発生しておらず、使用感、処置後の経過は共に良好である。今回、創傷被覆材の一つであるアルギネート創傷被覆材の一使用例として、その概要を報告する。