〈要約〉
慢性的な皮膚病変をもつ中~高令の雄犬に対しエストラジオール(以下:E2)の測定を行った。各症例とも基準値を上回る高値を呈したため性腺摘出(去勢手術)を行った。各症例とも除外診断が不完全ではあったが、術後皮膚病変の顕著な改善が得られた。
Key words:雄犬、エストラジオール、皮膚
犬や猫において、性ホルモンが関与した皮膚症状として記載された教科書は少なくないが、性ホルモンの視点に立った皮膚疾患の病態や発生機序、また性ホルモンの皮膚ホルモンへの作用機序に関して記載されたものは少ないと思われる。今回難治性の皮膚病変を伴う雄犬においてエストロゲン過剰症を疑いE2の測定を行った結果、5症例とも高値を呈した。性腺摘出(去勢手術)後皮膚病変の改善が得られたのでその概要を報告する。