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2006年:創傷管理に被覆材を用いた猫の3例 (InfoVets Feb.2006 Vol.9 No.1)

〈要約〉
 創傷管理において創傷面の湿潤環境を保つことは重要であり、現在、湿潤環境下での創傷治癒(モイストウンドヒーリング)理論に基づいたさまざまな創傷被覆材が入手可能である。また創面の清浄化、感染のコントロールにおいては洗浄、デブリードマン等で異物、壊死組織など感染源を取り除くことが重要であり、消毒薬の使用や抗生剤の局所投与を用いることに関しては組織障害や白血球遊走性の低下などのディメリットがあるため、近年その是非が問われている。今回、壊死、感染を伴い皮膚欠損や皮下組織、筋層および骨の露出が認められた症例に種々の被覆材を使用し、湿潤環境を保った状態で創の管理を行った。創面の洗浄は水道水、乳酸加リンゲル液で行い、消毒薬、抗生剤の局所投与は一切行わなかった。一時不適切な治療の選択により、治癒に遅れが見られたものもあったが、結果的に各症例とも良好な結果が得られたので、その概要を報告する。